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直行直帰の隊員のアルコールチェックはどう実施するか

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隊員が事務所に立ち寄らず現場へ直行し、下番後はそのまま帰宅する。警備業では当たり前の運用ですが、その隊員が社用車で現場へ向かっている場合、安全運転管理者による酒気帯びの有無の確認と、その記録の保存が必要になります。確認の方法は対面が原則であるため、直行直帰の運用と噛み合わない点が実務の悩みになりがちです。

結論として、直行直帰の場合は対面に準ずる方法で確認することが認められています。本記事では、認められている確認方法と記録すべき8項目、管理者が不在の時間帯でも確認を成立させる方法を整理し、上下番報告と同じ導線で記録を残す運用について解説します。

自社に安全運転管理者の
選任義務があるかを確認する

まず前提として、酒気帯び確認の義務は安全運転管理者を選任すべき事業所に生じます。選任義務の基準は、自動車の使用の本拠ごとの台数です。

乗車定員が11人以上の自動車は1台以上、その他の自動車は5台以上で選任義務が発生します。大型自動二輪車と普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算します。台数が20台以上40台未満の場合は副安全運転管理者を1人、40台以上の場合は20台を増すごとに1人の副安全運転管理者の選任が必要です。選任したときは、選任した日から15日以内に、自動車の使用の本拠の位置を管轄する都道府県公安委員会へ届け出ます。

警備会社の場合、隊員の送迎に使うワゴン、資機材やカラーコーンを運ぶ車、巡回や現場確認に使う社用車を合算すると、自社が思っているより早く選任義務の水準に達しているケースがあります。営業所単位で台数を数え直しておくと、選任漏れを避けられます。

酒気帯び確認の義務は
いつ・何を求めているのか

安全運転管理者に課された確認義務は、2段階で拡充されてきました。現在の要件を確認しておきます。

2022年4月からの
目視等による確認と記録の保存

業務使用の自家用自動車における飲酒運転防止対策を強化する目的で道路交通法施行規則が改正され、2022年4月1日から、安全運転管理者に対して目視等により運転者の酒気帯びの有無を確認すること、およびその内容を記録して1年間保存することが義務づけられました。いわゆる白ナンバーの車両も対象に含まれます。

2023年12月からの
アルコール検知器による確認

続いて、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認すること、その内容を記録して1年間保存すること、そしてアルコール検知器を常時有効に保持することを義務づける規定が、2023年12月1日から施行されています。目視等による確認に加えて、検知器による測定が求められる形です。

確認のタイミングは
業務の開始前と終了後でよい

警察庁のQ&Aは、酒気帯び確認について「必ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時及び終了後や退勤時に行うことで足りる」としています。ここでいう運転とは、一連の業務としての運転を指します。

この解釈は、警備業の運用設計にとって重要です。1日に複数の現場を移動する隊員に対して、移動のたびに確認を繰り返す必要はありません。上番の報告と下番の報告という、すでに毎日発生している2つのタイミングに寄せられるということです。

直行直帰でも認められる
「対面に準ずる方法」

確認の方法は対面が原則です。ただし警視庁のQ&Aは、直行直帰の場合その他対面での確認が困難な場合には、これに準ずる方法で実施することができるとしています。運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどしたうえで、次の2つの方法が例示されています。

カメラ・モニター等で
顔色と測定結果を確認する方法

カメラやモニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色や応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法です。ビデオ通話を使う形が実務的な選択肢になります。

電話・業務無線で声の調子を確認し
測定結果を報告させる方法

携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法です。警備業では管制室と隊員の間に既存の連絡手段があるため、こちらのほうが導入しやすいでしょう。

どちらの方法にも共通するのは、測定結果の報告だけでは足りないという点です。顔色または声の調子の確認が併せて求められているため、数値だけをメッセージで送らせる運用は「対面による確認と同視できるような方法」から外れる可能性があります。

警備会社で運用が破綻する
4つの条件

制度上は準ずる方法が認められていても、警備業の勤務実態を重ね合わせると、運用が続かなくなる条件が見えてきます。

早朝・深夜に管理者が
不在の時間帯がある

交通誘導は早朝の現場入り、イベント警備や夜間工事は深夜の下番が発生します。安全運転管理者が総務や管理部門の社員である場合、その時間帯には出勤していません。確認する人がいない時間に確認が必要な運転が始まる、という食い違いが生じます。

複数現場を移動し
運転の区切りが曖昧になる

午前と午後で別の現場に入る、途中で資機材を取りに営業所へ戻るといった動きがあると、どこまでが一連の業務としての運転なのかの整理が必要になります。前述のとおり業務の開始前と終了後の確認で足りますが、その業務の開始と終了を社内で定義しておかないと、現場ごとに運用が揺れます。

社用車と自家用車、
公共交通が混在している

同じ現場に、社用車で来る隊員、自家用車で来る隊員、電車で来る隊員が混在するのが警備現場です。確認の対象は業務に係る自動車の運転者であるため、隊員ごとに対象かどうかが変わります。なお、自家用車での移動が業務としての運転に当たるかどうかは個別の事情によって判断が分かれるため、判断に迷う場合は所轄の警察署に確認するのが確実です。

紙の記録簿が事務所に届くまで
内容を確認できない

現場で紙の記録簿に記入する運用では、その用紙が事務所へ回収されるまで記載漏れに気づけません。月末の集計時に確認の方法の欄が空欄だった、押印がなかったといった不備が判明しても、遡って直せる性質のものではありません。

管理者が不在でも
確認を成立させる方法

早朝・深夜の時間帯をどうするかについて、警察庁のQ&Aには明確な答えがあります。

Q&Aは、点呼による確認と同様に酒気帯び確認も安全運転管理者が行うことが原則としながら、安全運転管理者が不在である、他の業務により酒気帯び確認を行う時間を十分に確保できないなど、安全運転管理者による確認を適切に行うことができないおそれがある場合には、副安全運転管理者や、酒気帯び確認の業務を委託した事業者その他安全運転管理者の業務を補助する者に酒気帯び確認を行わせることは差し支えないとしています。

補助者の条件

ただし条件があります。安全運転管理者はあらかじめ補助者とする者を指定したうえで、その者に対して、酒気帯び確認の方法と、補助者が運転者の酒気帯びを確認した場合には安全運転管理者へ速やかに報告して必要な対応について指示を受けるか、または安全運転管理者が運転者に対して直接運転中止等の指示を行うよう措置すること、について指導・教育を行う必要があります。

夜間も管制室を稼働させている警備会社であれば、その時間帯の管制担当者を補助者として指定しておくことで、確認の実行主体を確保できます。管制員はもともと上下番の報告を受ける立場にあるため、業務の流れとしても無理がありません。

あわせてQ&Aは、同一の使用者が他の事業所で安全運転管理者を選任しており、その事業所で運転を開始または終了する場合について、一定の手続きを満たせば酒気帯び確認を行ったものとして取り扱えるとしています。複数の営業所を持つ会社では、隊員が立ち寄る営業所側で確認する運用も選択肢になります。

記録すべき8項目と
保存期間

警視庁のQ&Aは、酒気帯び確認を行った場合に記録する内容として次の8項目を挙げ、その記録を1年間保存することとしています。確認者名、運転者の氏名、運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号または識別できる記号・番号等、確認の日時、確認の方法、運転者の酒気帯びの有無、指示事項、その他必要な事項です。

このうち確認の方法については、対面でない場合は具体的方法等まで記載することが求められています。直行直帰の隊員について、ビデオ通話で行ったのか、電話で声を確認して測定結果を報告させたのかを書き分ける必要があるということです。確認したという事実だけでなく、どの方法で確認したかまでが記録の一部になります。

検知器の要件

検知器そのものの要件も押さえておきます。Q&Aは、アルコール検知器について呼気中のアルコールを検知し、その有無または濃度を警告音・警告灯・数値等により示す機能を有する機器であれば足りるとしています。一方で常時有効に保持することが求められているため、製作者が定めた取扱説明書に基づいて適切に使用・管理・保守し、定期的に故障の有無を確認して故障がないものを使用しなければなりません。現場に携行させる携帯型の検知器についても、点検の記録を残す運用が必要になります。

上下番報告と同じ導線で
記録を残す

酒気帯び確認の記録を、既存の勤怠報告と別の帳票で管理すると二重運用になります。警備業には上番・下番の報告という毎日必ず発生する連絡があるため、この導線に載せる設計が現実的です。警備管制システムを使う場合、次の3点が整理できます。

打刻と同時に
測定結果を報告させる

隊員がスマートフォンで上番を報告する画面で、そのまま検知器の測定結果を入力または撮影して送る形にすれば、記録すべき項目のうち確認の日時、運転者の氏名、確認の方法、確認者名は報告データから埋まります。隊員側の操作が1つの流れで完結するため、報告忘れが起きにくい運用に近づきます。

通話による声の確認を
記録に紐づける

電話や業務無線で声の調子を確認する方法を採る場合、その確認を行った事実と指示事項を、同じ報告レコードに残しておく必要があります。通話は行ったが記録は紙、という分離が起きると、後から確認の方法を再現できません。管制側の入力欄として確認方法と指示事項を持たせておくと、記載の抜けを防ぎやすくなります。

記録の欠落を
月末でなく当日に検知する

報告がシステム上に集まる運用であれば、その日の配置一覧と報告の有無を突き合わせて、未報告の隊員を当日のうちに把握できます。紙の記録簿を月末に集計する運用と比べ、不備を当日中に追いかけられる点が実務上の差になります。

まとめ

直行直帰の隊員に対する酒気帯び確認は、対面に準ずる方法で実施できます。要件は、顔色または声の調子の確認と測定結果の確認を併せて行うこと、そして8項目を記録して1年間保存することです。安全運転管理者が不在になる早朝・深夜については、あらかじめ指定した補助者に確認を行わせる方法が示されています。

なお罰則について、道路交通法は選任義務の違反や公安委員会の命令に従わなかった場合に50万円以下の罰金、届出義務の違反に5万円以下の罰金を定めています。酒気帯び確認そのものの不履行に直接の罰金規定は置かれていませんが、確認等の業務を遵守していないため安全な運転が確保されていないと認められる場合には、公安委員会が安全運転管理者の解任を命ずることができ、その命令に従わなかった場合は罰金の対象になります。

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